書籍紹介

さらば桑田真澄、さらばプロ野球【感想】

本書の概要

桑田のあまりに品のない女関係と裏金事情の暴露本。

この本を読んでもまだファンでいられるかは保証できません。

  • 発刊年:1990年
  • 著者:中牧昭二(元カドヤスポーツ)

桑田真澄の略歴

  • 1983-1985年にPL学園で甲子園で活躍。
  • 甲子園で5回全部に出場。
  • 清原和博とともにKKコンビで2回準優勝、2回優勝。
  • 甲子園で通算20勝3敗。防御率1.55.(今後抜かれることのない記録と評される。)
  • 1985年、早稲田への進学を表明するも巨人にドラフト入団。
  • 清原も巨人を希望していたが、西武となり、密約を噂される。
  • 1986年から巨人に入団して活躍。

本書の衝撃的な目次(ⅠからⅤ5章構成)

  1. 第1章 身も凍るような冷酷無比の桑田の人間性
  • 桑田のもらした巨人入団の秘密
  • 吉原に連れて行って欲しい
  • 契約をする代わりに裏金をよこせ
  • 信じられないほど無軌道な桑田の女遊び
  • 桑田の執拗な裏金要求に会社も耐えられなくなる

第1章、2章で全くイメージのない桑田の人間性が述べられている。多少は誇張はあるでしょうが、大体は真実だと思います。

レビュー

1980年代のプロ野球選手とスポーツメーカー

wikipediaでは桑田真澄を中心としたプロ野球とスポーツ用品メーカーとの裏金問題について書いた内容とされています。

裏金を受ける選手は今なら問題になるかもしれません。

裏金を渡してでも自社製品を有名選手に使ってもらいたいという当時のスポーツ用品メーカーの実態がよく分かる。

高校野球のピッチャーは甲子園でテレビで長時間映るので広告塔になります。

しかも今と違って1980年代はテレビの広告は絶大で、とりわけ桑田のようなスターのピッチャーは圧倒的な宣伝効果になります。

高校生に自社製品を使ってもらうために、生徒自身にアプローチするだけでなく、その親、兄弟にも投資をします。

監督にも惜しみなく、飲ませて、食わせて、抱かせるとのことです。

高校野球でさえ、当時はそんな時代なので、プロ野球選手とスポーツ用品メーカーの関係性が1980年代はどんなものであったか、恐ろしいです。

事実、カドヤスポーツは桑田選手と契約することで売り上げが年間2000万円から8億に伸びたとのことです。

そんな時代なので、裏金を受け取ったり、接待を受けていた選手や監督、コーチ個人の問題ではないと個人的には思っています。

筆者自身も業界自体の構造上に問題であると述べているが、本書の半分が桑田との衝撃的なエピソードが書かれています。

そこは前置きしつつ、下品な裏金要求と女遊びのセッティングを著者の中牧氏にさせて、暴露されるに至ったようです。

こういったスキャンダルの真偽は不明です。

本書は誇張はあっても、信ぴょう性は高いように思います。

巨人入団の秘密

中:やっぱり巨人に行くの?

桑:伊藤菊さんから接触があるんです。

それ以上は聞くことはできなかったようです。

伊藤菊さんは当時の巨人の凄腕スカウト。

古くは小林繁、淡口憲治、、など。

得意な手法は大学進学を選手に表明させ、他球団の指名を回避させる。

吉原に連れて行って欲しい

ドラフトの前、本社からはなんとしても桑田と契約するようにと言われていた。

どんなもてなしがいいか悩んだそうですが、桑田から言ってきたそうです。

そんなイメージのない選手なだけに驚いたそうです。

それ以来、会うたびに吉原に行くようになることになるとは想像だにできなかった。

清原との関係

清原の話はほとんどが悪口でした。

「あいつがドラフトで巨人に指名されず、泣いているときに、僕はザマアミロと思ったね。あいつは、教室でデカイ態度をとっていたんだ。「原の代わりに巨人の四番を打ってやる」とかね。でも、僕が一位指名されるのはわかっていたから、いまに泣き面が見られるぞと楽しみにしていたんだ。」

など。

本当の話なら、ちょっと恐ろしいけどどうなんでしょうか。

契約をする代わりに裏金をよこせ

当時はミズノとボナンザを交互に使って、なかなかカドヤスポーツのグローブを使っていなかった。

どことも専属契約していなかったが、どれを使うとも使わないとも言わない。この辺が計算高いところである。

接待費ばかりがかさんで会社も限界だったため、改めて申し出た。

断られたら仕方ないと半分開き直っていた。

「昭ちゃん。裏金で月に20万円くれたら、使ってもいいよ。それもノータックスだよ。」

20歳そこらでそのような要求は驚きです。

このような裏金がはびこっていた業界だったでしょう。

これだで桑田が責められるべきではないと思います。

しかし、裏金を渡すと桑田も会社も後戻りできません。

実際に桑田がワールドペガサスのグローブを使っているところをテレビで観た筆者は家族で喜んだようです。

しかし、要求はエスカレート。

「今年、僕は活躍するよ。だから裏金を月20万から、30万にしてくれないか。」

弱小企業の弱み、桑田一本頼みでは断ることもできないようです。

信じられないほど無軌道な桑田の女遊び

あの頃の桑田は盛りがついた猫に等しかった。

一晩でも女を抱かなかったことはないのではないか。

酒を飲まない桑田は、一夜限りのプレイの相手を探しに銀座のクラブをハシゴして回る。

気に入った女の子がいると

「昭二、あいつと話つけてこい」

が決まり文句。巨人の管理があるので筆者が女の子を桑田の部屋へエスコート。

部屋へ入るとにこやかに女性を招き入れ、筆者に

「帰っていいよ」のひとこと。

桑田の執拗な裏金要求に会社も耐えられなくなる

クラウンを買い与え、裏金は500万円。

さらに、高級時計は10個以上、ゴルフクラブは5セット以上。

100万円はする高級背広など。

加えて吉原や銀座の高級クラブ、高級寿司などを加えると当時の桑田の年俸は超えていたようです。

「お前が会社を辞めたらクワタ事務所(桑田個人が作った節税会社)に入れてやるよ。運転手として使ってやるよ。」

この時ばかりは、桑田を引き摺り下ろしてぶん殴ってやろうと思った。

一つ間違えば桑田を半殺しにしていたかもしれない。

私は舌をちぎれるくらい強く噛んで耐えた。

その時、もう会社を辞めるしかないと覚悟した。

どんな夜間の急な呼び出しにも耐えていて、私生活はボロボロ。

寝言で「この野郎、ぶっ殺してやる」

などと口走るようになって、円形脱毛症になったようです。

桑:「ノータックスで500万円寄こせ。でないと他と契約するぞ。」

とうとう私もサジを投げた。

中:「わかった、他所へ行くなら行っても構わない」

桑「そうか、お前は辞めるのか。辞めてもいい。ただし、裏金だけは寄こせ」

この言葉を私は生涯忘れることができない。

感想

30年以上も前の話です。

裏金の要求、接待、高級品をプレゼント。

桑田だけではなく、他の選手もきっとこんなもんだったんでしょう。

しかし、あまりにも発言ややり取りに思いやりがないというか。

言い方ひとつ変えるだけで、ここまで本にしてまで暴露される様なことはなかったのではないかなと思います。よほどの恨みを買ったのでしょう。

この本は国会にも取り上げられるぐらい世間を賑わせた様です。

医者の接待なんて、可愛いものだなと思います。

というか、もう今はお弁当ひとつ、ボールペンもない時代ですから。

最近清原選手がYou Tubeを始めました。

佐々木投手との対談1本目の動画。

佐々木選手が「優等生ぶってるヤツが本当の悪。僕はそういうやつらをよく見てきました。1人思い浮かんだ顔があるだろ?」と清原氏に振ると、清原氏は名前を暴露。動画内では音声処理で名前が伏せられたが。おそらく。